【時評】プログラミング教育の掛け声に踊らされるな

f:id:PSYuki:20170702230914p:plain こんばんは。ツムさんです。

あぁ、こんな時代になったんだなぁ。。

最近、子ども向けのプログラミングが注目されてて、ニュース等にもちょくちょく子ども向けのプログラミングセミナーが紹介されたりしています。

 

 

今、子ども向けのプログラミングが注目されている理由は下の記事を読んでみると分かりやすいです。

 

【保護者必見】2020年 プログラミング教育必修化の最新動向 | TECH::NOTE | プログラミングをはじめる全ての人に

 

文科省がイメージしているプログラミング教育がどんなものかは、これを見ると分かりやすいです。

 

プログラミング教育実践ガイド|学校教育分野|教育の情報化

 

小学校1年生から高校生まで、実際に取り組まれたプログラミング授業の紹介が載ってます。

 

 

ソフトウエア業界の人材不足

この前14年ぶりに就職面談したときの会社の社長さん(昔NECのエンジニアだった人)が話してくれたのは、

 

日本はかなり昔からソフトウェアエンジニア人材不足

 

というもの。昔というのは、1970年代後半から90年代にかけての話でした。ぼくが生まれて中学校を卒業するくらいまでですねー。ファミコンやスーファミに夢中になって遊んでいた頃だ(笑)

 

この会社は企業向けのプログラミングセミナー(研修)を行っています。 

社長さんの話では、当時は、ゲームに限らずソフトウェアの開発というのは全部自前(自社)で開発するのが当たり前という環境で、今みたいにオフショア(海外)に委託するなんて選択もなく、プログラマーは毎日徹夜して開発していたのだそうです。プログラマーを職業にする人は、昔はとても人数が少なくどの会社も貴重だったという話でした。

 

ぼくは中学ときに授業で初めてパソコンに触ってBASICのプログラミングを習ったけど、授業を教える先生は今思えば相当大変だったんじゃないかなぁ。いつも分厚いテキストを片手に授業をしていたような気がします。あれはきっとBASICのコマンドリファレンスガイドだったと思う。

 

学校でBASICを習っていると、当時、親戚で会社を経営していた叔父に話をしたら、「うちの経理プログラムを作ってくれ」と結構真剣に言われたことがあって、中学生ながらに困った記憶が蘇りました。

 

昔からプログラマーは貴重な人種だったんですね。

 

 

日本のプログラミング教育は遅れている

話を現在に戻して、今更ながらに小学校でプログラミングが教育カリキュラムに入ったというのは喜ばしいことではあるのだけど、やっとかという感じも拭えません。

 

上の社長さんの話にあるとおり、1980年代にはソフトウェアエンジニアの人材不足は言われていて、この時代は、丁度日本の半導体産業が活況だったころと重なります。ハードウェアの進歩とともにソフトウェアの開発ウエイトが大きくなっていったのは想像できます。そして、1995年のWindows95の発売が一気にパソコンを普及させたために、2000年に入ってIT人材不足が表面化していきました。

 

ぼくが高校生の頃は普通にC言語って?というような話で盛り上がっていたりしたので、日本の教育は世の中の流れからみれば、周回遅れどころか、2周は遅れている感じです。

 

 

プログラミングは手段

教育におけるプログラミングはあくまで手段なので、プログラムが書けるようになることが目的ではない点は注意しておきたいですね。

 

文科省の学習指導要領を読んでみても、プログラムが書けるようになるとは一言も書いてないです。算数や理科の授業で論理的な思考(ものごとを正しい順序で捉える力と考えてください)を養うためのツールとしてプログラミング(プログラムを書くこと)を活用しようとあるだけです。

 

ものごとを正しい順序で捉える力って、プログラムを書かなくても、例えば旅行の計画を立てたりすることだって学ぶことは可能ですよ。

 

〇月✖日

8時 起床

9時 △駅集合(予算5000円)。切符購入(350円)

10時10分 ◇駅で何線に乗り換え

11時 〇駅下車

11時5分 昼食(✖店予定。お店が混んでいたら△店)。昼食代1000円(残金3650円)

 

こんな感じで計画を立てることが、そのまんまプログラムを作るイメージと瓜二つなんですよね。予算が足りるように計算しながら計画を立てたりするところや、昼食のお店が混むとか例外処理を考えたりするのはプログラムなら if文 ですね。繰り返し処理や関数化といったことも、2回目3回目の旅行になると過去の計画を使い回す部分が出てきたりして概念としては学ぶことが出来ます。

 

小学校や中学校の修学旅行で紙とペンを使って自由行動の計画を立てるのも、一種のプログラミングの授業だったんだと捉えることができます。

 

今のプログラミングセミナーは子どもに興味を持ってもらえるように工夫されているので、子どもに合っているならプログラミングセミナーに通うのも一つの手ですし、プログラミングが合わないなら、家族で旅行しながら楽しみながらプログラミングっぽいことをしてみるのもアリですよ。