【時評】飲食店の慢性的な人材不足は消費者の素直なマインドを反映してる

f:id:PSYuki:20170618222301p:plain 今日は父の日ということで家族で近くのショッピングモールに買いものに行ってきました。

 

 

武蔵小杉に2年ほど前にオープンした「グランツリー武蔵小杉」です。イトーヨーカドーが核のショッピングモールで、高級感あふれるブランド店からよくお目にかかるテナントまで一通りのお店が揃っているといった感じです。

 

昼に差し掛かって食事でもしようと4階のフードコートに寄ってみたところ、ものすごい人の数です。丁度12時頃だったでしょうか。

ベビーカーを押す家族連れも多く、席を探すフードコート難民であふれかえっていました。

 

外食産業(飲食店)の慢性的な人手不足がちょくちょくメディアを騒がせていますが、3月に発表された有効求人倍率もそれを裏付けています。

 

職業別に見ると、建設業は3.61倍、飲食などサービスは3.05倍だった。IT(情報技術)など「専門的・技術的職業」も2.04倍に達した。

 

全産業で1.45倍です。飲食などサービスでは倍の求人があることになります。ちなみに、有効求人倍率は、全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示しています。

(このあたりは会社を辞めると自然とアンテナが高くなる分野です(笑))

 

今日見たフードコートの光景は肌感覚で飲食業界の人手不足の深刻さを物語っているなと感じました。他のアパレル等の店と比較してもフードコートの繫盛さは異常です。

 

では、なぜこの時期に、飲食業界が慢性的な人手不足に陥ってるのでしょうか?

 

いくつか理由は考えられると思うのですが、

 

  • 日配品等の物価が上がったため相対的に外食の割安感が出てきた。
  • ベア(ベースアップ)が中小企業にまで波及してきて外食に回す余裕のある家庭が増えた。
  • 消費者心理として食費から徐々に財布の紐を緩める傾向がある(逆に締めるときは食費から)

 

3つ目は賛否両論あると思いますが臨時ボーナスが入ったときに「今晩は少し贅沢しようか」と思う心理は誰もが納得するのではないでしょうか。

 

ぼくは上2つの理由が大きいとみています。中小のベアが大企業を上回ったというのは先月メディアでも取り上げられていました。

 

賃上げ獲得額、中小が大企業上回る 自動車総連まとめ :日本経済新聞

大手超え、299人以下の規模でベア平均1319円、業種別では「販売」が1476円...自動車総連 | レスポンス(Response.jp)

 

月平均で1319円です。これを多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、月に1319円なら少しくらいの贅沢として手軽な外食を選ぶ消費者は多いと見ています。 また、外食産業は他の業種に比べてまだまだ値上げに踏み切れていないです。これは客離れを心配する経営者側の心理的な影響が強く出ていると思います。

 

そうであれば、今日フードコートで見たような光景は、消費者の消費マインドが徐々に回復している証と見て取れなくもないのかも知れません。

 

ショッピングモールのようになんでもありの形態では、どのジャンルのお店にどの程度の「店舗面積」を割くか、そのバランス如何でトータルの売り上げも大きく変わってきます。出店時には、最適なバランスだった「店舗面積構成比」が消費者のマインドの回復とともに崩れてきている。とぼくは見ています。

 

うちの近所でこの5年~10年以内に新規オープンした大型ショッピングモールは、どこもフードコートは人であふれかえっています。丁度、リーマンショックで消費が落ち込み始め、東日本大震災で消費心理が冷え切った時代に建てられたものばかりです。

その当時、カテゴリ別の売上予測からはじき出された最適な「店舗面積構成比」が、今の消費者のマインドとズレてきてしまっているのだと考えています。

 

食べる場所に困るほど人が溢れるというのは、テナント側がどんなに従業員を増やしたところで解消できる問題ではないのですが、売る相手がいるのに迅速に売ることが出来ておらず長蛇の列が出来てしまっているという状況は売上の「機会ロス」も引き起こしてしまっており、テナントの経営者としては見過ごすことはできない問題です。

 

ショッピングモールの運営側も、採算の悪いテナントを閉店し飲食関係の店舗の拡充、飲食スペースを確保するように柔軟な経営が求められていると思います。

 

今日は父の日なので真面目なツムさんでした!