【書評】ストーリーとしての競争戦略
おはようございます。ツムさんです。
大きな会社になると課長クラスとはいえ、中小企業の社長くらいのお金を扱うわけで、「経営者」としての意識が必要になりますよね。そんな人にむちゃくちゃ薦めたい本の紹介です。
あっさりいって、現実のビジネスの成功失敗の八割方は「理屈では説明できないこと」で決まっている。
経営や戦略は「科学」ではない
戦略はサイエンスというよりもアートに近い。優れた経営者は「アーティスト」です。
「違いをつくって、つなげる」、一言でいうとこれが戦略の本質です。
大きな会社になると、違いを作る部署とつなげる部署が違うのが問題になるんだよね。違いを作る部署は、やたらと差異化を唱えるんだけど、その違いは「全体を意識した差別化」になっていることは絶対なくて、もともとバラバラにされたパーツを改良し続けているというものが大半。改良=差異化という考え。
つまり戦略ストーリーというのは、きわめて主体的な意志を問うものだということです。
将来はしょせん不確実だけれども、われわれはこの道筋で進んでいこうという明確な意志、これが戦略ストーリーです。
数ヶ月前の上司との面談がフラッシュバックするなぁ。。。
「うちの課の存続意義が問われていますよね。うちの課の柱を建てて進む方向を決めませんか」
ちょっと、カッコつけてるかなぁ。まぁ、でも大体こんな感じのことを言ったと思う。
「まぁ、そういう意見もわかるけど、他の部署の意見も聞いてからだよね」
「。。。」
順番が違う。自分たちの意志もはっきりしないうちに他の人の意見を聞くのは間違っている。他人の意見に相乗りして流されるだけ。
こういう、組織(会社)に意見を言うのはその人のスキルを活かした一種のアウトプット(組織に対するインプット)だと思うんだが、悲しいことに大抵の場合歓迎されないんだよね。もちろん表面上は「助かる」的な謝辞を述べてはくださいますが、その意見が反映されることはまずない。
この件について的確に指摘しているのが次の文。
欧米では自分が組織に提供するインプット(機能)がそのまま仕事の定義になるのに対して、日本企業では組織が提供するアウトプット(価値)が人々のアイデンティティとなる傾向にある。
まさにその通り!!
この傾向が強くなると、最後には、組織が出そうとするアウトプットを構成するパーツ単位に人やモノといったリソースが割り当てられることになるから、そのパーツを作ることに各自がほんの少しの工夫を加えて「差別化」を図ろうとするんだよね。それは、成果主義が導入された会社は否応なくそうせざるを得ない。つまり、いくら全体最適的な視点での「差別化」をパーツ担当者が考えたとしても組織がそれを許さないという構図。そういった視点の仕事は、マネージャーやリーダーがやるという考え方。
この構図はスティーブジョブズのようなカリスマが強力に引っ張るような会社でないと成立しないというのが持論。
一人の工夫を寄せ集めても(それはそれで大切ではあるけど)、大きな視点で考え抜かれた「差別化」にはかないっこない。1つ1つの工夫が些末すぎてユーザーには伝わらないんだよ。
文句ばっかりになるので、ここらで止めて(辞めて)おいて、自分は自分の「違いをつくって、つなげる」を考えますよ。