哲学とマジシャンの不思議な符合

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最近読んだ神経科学の本に哲学(幸福論)と符合するフレーズがいくつか見つかり、勉強になったので紹介します。

 

 

神経科学の本はこちら。

 

 

この本の最後にエピローグとして 人生の教訓ー手品に学ぶこと が書かれています。

いつくか紹介します。

 

マジシャンはマルチタスキングなど神話にすぎないと知っており、注意に対して「分割して征服する」アプローチを取る。彼らはあなたの注意を分割し、ある時点では舞台でおきているどの詳細にも完全に集中できないようにする。

(中略)

最善の結果を得るには、一つずつ片づけるのが一番なのだ。

 

マジシャンもたえず間違いを犯しているけれども、こだわらずに前へ進むので、観客はほとんど気づきもしない。あなたもそうすべきなのだ。 

 

マジシャンはユーモアと共感を用いてあなたの守りの壁を取っ払う。マジシャンに同情を感じたら、手品の裏にあるトリックをさほど気にせずに楽しめるだろう。対人関係でも、マジシャンのようにあなたの魅力で相手の警戒心を解くように心がけよう。

 

観客はみな「テレパシーをもっている」。共同経営者や連れ合い、警察になにか隠し事をしているなら、彼らの前ではそのことを考えないほうがいい。そうすれば、あなたの声や視線、姿勢で相手に秘密がばれるのを避けられる。

 

哲学(幸福論)の本はこれ。

 

 

たった一つだけ、小さな子どもに人生訓を伝えられるとしたら、何を選ぶでしょうか。個人的な趣味ですが、私は「一つずつ」やることを伝えます。

 

遊びであれ、用事であれ、今やっていることを一つずつやることは、実はものすごく難しいことなので、それさえできれば多くの問題が自然と解消するくらいです。いらいらや、不注意や、落ち着きのなさや、ひとに八つ当たりをする癖などが。

 

自分がやっていることだけをやり、ほかの人を適度に放っておけることは、なかなかみにつかない大変な美徳です。 

 

もし、すべての大人たちが今やっていることを一つずつやったなら、もめ事はずっと減るでしょうし、各人の充足感は増すでしょう。

 

目の前の作業に専念できれば、過去への後悔や未来への不安、他人との比較や他人への怒り等から心が離れ、良い意味での狭い意識のもとで、一つひとつの作業を味わえるからです。

 

幸福論は、人生における幸せ(充足感)を得るために、「一つずつやること」「目の前の作業に専念すること」を挙げていますが、 マジシャン(手品師)の考え方に似てると思いませんか?

 

マジシャンの人生を舞台(ステージ)の上と見れば、手品を披露しているその一瞬が、マジシャンにとって専念すべきことであり、たとえ手品の途中で間違えようとも、気にせずに、観客に隠し事(手品のトリック)を悟られることなく、やり遂げる。

 

日本でマジシャンのパイオニアといえば、「トランプマン」だと私は思っていますが、「トランプマン」のポーカーフェースは、(時々感情が出るときもありましたが)スタジオの共演者から鋭い突込みが入っても、変わりませんでしたし、最後まで淡々と手品を続けていたという記憶があります。

 

ギャラリーは好き放題いうものです。それは、相手が知り合いでも例外ではなく、そこそこ「責任が降りかからない程度に」言いたいことをいいます。

だからこそ、気にする必要はないんです。相手に責任が発生するようなことはないので。

 

相手に責任がないなら、今ステージの上でやっていることの責任はすべて自分(マジシャン)にあるということ。だから、今やっている手品に専念してやり遂げるだけでいい。マジシャンの独特な動作や仕草は、観客の注意を引くためですが、一方で、マジシャン自身が自分の演技に集中するためのルーチンとも考えられます。

 

さぁ、自分がやることをやろう!