小学校で教えるのはプログラミングではなくプログラミング的思考だよ

f:id:PSYuki:20170402232643j:plain 2020年から小学校でプログラミングの授業が始まるって本当ですか??
という声を最近よく耳にしますが、誤解が多そうなので整理しておきたいと思います。

 

 

実際には、「プログラミング」という科目ができるわけではなくて、コンピュータや
情報通信ネットワークに触れ「情報活用能力」の育成を図るということのようです。

「小学生学習指導要領」からプログラミングが登場する箇所を原文のまま引用します。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1384661.htm

 

(3) 第2の2の(1)に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要と
なる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理
を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動

 

(2) 観察,実験などの指導に当たっては,指導内容に応じてコンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。また,第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第6学年〕の「A物質・エネルギー」の(4)における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など,与えた条件に応じて動作していることを考察し,更に条件を変えることにより,動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする。

 

(9) 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の第3の1の(3)のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験することが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること

 

第1章総則の第3の1の(3)のイが最初に「プログラミング」が登場する箇所です(水色のハイライト部になります)。紫部分も同じ個所を指しており、いずれも「論理的思考力を身につけるため」の「手段としてのプログラミング」という位置づけです。

さらに、黄緑部分がプログラミングの位置づけを明確にしています。あくまで探求的な学習が目的であって、プログラミングそのものが目的でないことが分かります。

「プログラミング」自体を学習するのではなく、「プログラミング的思考」を養うということのようです。探求的な学習がどういうものかという疑問はありますが、通常の授業(算数や理科)の理解を深めるためにプログラミングやコンピュータを使うという意味です。

 

幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイントも併せて見てみると、ほぼ上の解釈と同等のことが書かれています。

 

○情報活用能力(プログラミング教育を含む)
・コンピュータ等を活用した学習活動の充実(各教科等)
・コンピュータでの文字入力等の習得、プログラミング的思考の育成(小:総則、各教科等(算数、理科、総合的な学習の時間など)) 

 

こうして見てみると、今のプログラミングスクールの内容がずれてしまっていることが分かると思います。プログラミング的思考を養うなら、わざわざ高い受講料を払ってプログラミングスクールに通う必要は全くなくて、自宅のパソコンとインターネット環境があれば子どもの教育用プログラミング環境(scratchなど)が使えます。scratchも保護者が少しサポートすればすぐに使えるようになります。(実際、うちの息子も、ほんの少し教えただけですぐに使えるようになりました。)

 

iPadやiPhoneを持っていれば、Appleがリリースしている「Swift Playgrounds」というアプリ(無料)が使えます。これは、ゲーム的な要素も含みながら、楽しくプログラミング的思考を学ぶことが出来ます。

 

Swift Playgroundsについてはこちらの記事もあわせてどうぞ。